アヴィ・アヴィタル
マンドリン
アヴィ・アヴィタルはマンドリンの国際的知名度を高め、そのレパートリーを活性化させ、コンサートで活躍が少なかったマンドリンを主流の存在へと押し上げた先駆者的存在である。1978年、イスラエル南部の砂漠の町ベエルシェバ(ベエル・シェヴァ)に生まれ、8歳でマンドリンを始め、すぐに地元のマンドリン・ユース・オーケストラに入団した。エルサレム音楽アカデミーで学び、パドヴァのチェーザレ・ポッリーニ音楽院でウーゴ・オルランディからマンドリンの歴史的レパートリーを学んだ後、伝統を破り、ブルーグラス、ジャズ、ワールドミュージックなど、文化やジャンルを超えたさまざまな音楽と出会っていった。
2007年、プロを目指す若手音楽家のためのイスラエル・アビブ・コンクールで史上初の優勝を果たし、以後ニューヨークのカーネギーホール、リンカーンセンター、ロンドンのウィグモアホール、ベルリンフィルハーモニー、ウィーンのコンツェルトハウス、北京の中山公園音楽堂、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス、タングルウッド音楽祭、ヴェルビエ音楽祭など、世界有数のコンサートホールや国際音楽祭でデビューを果たした。2010年にはさらにマンドリン奏者として初のグラミー賞最優秀器楽ソリスト部門にノミネートされるなど、数々の快挙を成し遂げている。
世界の様々なスタイル、時代、地域を網羅したアヴィタルのダイナミックで幅広いレパートリーは、彼のディスコグラフィーを活気あるものとしている。5枚のアルバムで、ヨハン・セバスチャン・バッハのチェンバロ協奏曲とヴァイオリン協奏曲の編曲を録音し、バルトーク、ブロッホ、ファリャ、ピアソラ、ツィンツァーゼ、ヴィラ=ロボスが作り出した伝統民族音楽の新レパートリーを探求し (2014年『ビトゥイーン・ワールズ』)、ヴィヴァルディとヴェネツィアにオマージュを捧げ (2015年『ヴィヴァルディ』) 、北アフリカ、バルカン、アンダルシアの音楽の伝統も旅している (2017年『アヴィタル・ミーツ・アヴィタル』) 。最新アルバム『アート・オブ・ザ・マンドリン』は、2つの世界初録音作品を含むオリジナルのマンドリン作品のみで構成されており、時代としては3世紀にわたるクラシック・マンドリンのレパートリーを網羅している。マンドリン音楽の質と幅広さ、圧倒的名人芸、音楽性、表現力を操る独自の能力を持つアヴィタルは、大胆な編曲をこなし、100以上の新しい委嘱作品を持つ。マンドリンの真なるパイオニアと言えるであろう。