キアン・ソルターニ
チェロ
キアン・ソルターニが演奏するたびに、新たなイマジネーションの世界が現れる。個性、深い表現力、カリスマ性あふれる存在感が、この若きオーストリア人チェリストの魅惑的な芸術を支えている。世界屈指のコンサート・ホールから招かれ演奏し、各地で絶賛を博している「かつての新星」は、今や同世代中で最もエキサイティングな音楽家の一人となった。ソルターニは、2017年にドイツの権威あるレナード・バーンスタイン賞とクレディ・スイス・ヤング・アーティスト賞を受賞し、ドイツ・グラモフォンと専属録音契約を結んだことで、一流演奏家としての地位を揺るぎないものにした。
ソルターニは、1992年にオーストリアのブレゲンツで、ペルシャ人の音楽一家に生まれた。 4歳でチェロを始め、わずか12歳でバーゼル音楽院のイヴァン・モニゲッティのクラスに入った。11年間モニゲッティに師事し、たゆみなく彼の指導を吸収したソルターニは、モスクワ音楽院でムスティスラフ・ロストロポーヴィチに師事した。19歳でウィーン楽友協会(黄金のホール)とホーエネムスのシューベルティアーデにデビューして絶賛を得たことは、彼の国際的な飛躍の足掛かりとなった。 2013年にはヘルシンキのパウロ国際チェロ・コンクールで優勝し、世界の注目をさらに集めた。2014年にムター財団の奨学生に選出された他、ドイツのクロンベルク・アカデミーの若手ソリスト育成プログラムとリヒテンシュタインの国際音楽アカデミーでも研鑽を積んだ。
協奏曲のソリストおよび室内楽奏者としての活動に加え、ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団(WEDO)の首席チェロ奏者としても活躍。2015年にはベートーヴェンの三重協奏曲のソリストの一人として、ダニエル・バレンボイム(弾き振り)およびWEDOとともにベルリン、ザルツブルク音楽祭、ルツェルン・フェスティバル、ロンドンのBBCプロムス、ブエノスアイレスのテアトロ・コロンで演奏した。この他、ソルターニの初期の活動のハイライトとして、アンネ=ゾフィー・ムター率いるムター・ヴィルトゥオージとのツアー、2017年に開始したバレンボイム指揮WEDOのツアー中のR. シュトラウス《ドン・キホーテ》の演奏、2017年のピエール・ブーレーズ・ザール(ベルリン)のオープニング・ウィークへの参加、その2ヵ月後にベルリンでシラーズ・アンサンブルと行ったペルシャ音楽の演奏会が挙げられる。
2018年にタングルウッドでボストン交響楽団によるバーンスタイン生誕100周年記念ガラ・コンサートに出演したソルタ―ニは、ベルリン国立歌劇場でバレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリンにソロ・デビューを果たし、バレンボイム指揮WEDOとともにアメリカで一連のコンサートを行った。このツアー中にカーネギー・ホールへのデビューを飾り、ケネディ・センターやロサンゼルスのウォルト・ディズニー・コンサート・ホールなどの一流の会場で演奏した。これまでソルターニは、アムステルダム・コンセルトヘボウ、エルプフィルハーモニー・ハンブルク、ストックホルム・コンサート・ホール、ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホール、カドガン・ホール(2019年のロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団でのレジデント活動の一環)で演奏を行っている。またラヴィニア音楽祭では、イツァーク・パールマン指揮のシカゴ交響楽団と初共演した。リサイタル奏者として、とりわけフィルハーモニー・ド・パリ、ウィーン・コンツェルトハウス、エルプフィルハーモニー、ピエール・ブーレーズ・ザール、カーネギー・ホール、ロンドンのウィグモア・ホール、ザルツブルクのモーツァルト週間、ニューヨークのリンカーン・センターのモストリー・モーツァルト・フェスティバルで演奏し、絶賛された。2019-2020年シーズンには北京の国家大劇院(NCPA)管弦楽団と初共演。コンツェルトハウス・ドルトムントの再開記念コンサート出演の際には、ミルガ・グラジニーテ=ティーラ指揮ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団と共演した。使用楽器は、厚意により貸与された1694年製のストラディヴァリウス「The London, ex Boccherini」。