ルネッサンス音楽
ルネッサンス(フランス語で「再生」を意味する)は、まったく新しい考え方の始まりであった。音楽は中世的な制約から脱却し、音域、リズム、ハーモニー、形式、記譜法などの面で、より多様なものとなった。芸術家は初めて個人として登場し、音楽では響きと表現がより重視された。五度音程と四度音程は、三度音程と六度音程によって、和声的な広がりを獲得した。音楽家は均質性とバランスを求め、対位法がルネサンス音楽の中心となり、モテット、マドリガル、ミサ曲などの楽曲が作曲されるようになった。作品はもはやパターンや比率だけでなく、響きや歌詞から発想されるようになり、その多くは厳格な理論に支えられていた。ルネッサンス音楽は、その思潮が始まってから約100年後に発展し、その時差にもかかわらず、人々に個性を表現する機会を与え、独自のジャンルとして発展していった。
中世に発展した楽譜は、印刷術の発明により発展し、ヨーロッパで標準化され、現在に至っている。この時代の代表的な作曲家には、ジョスカン・デ・プレ、カルロ・ジェズアルド、ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナなどがいる。教会ではオルガンが普及し、リコーダー、コルネット、トランペット、トロンボーンなどの木管・金管楽器が発達した。またリュート、チェンバロ、ヴィオラ・ダ・ガンバは、家庭音楽で親しまれた。この時代の終わりには、作曲家たちは実験的となり、不協和音や半音階、装飾音も導入するようになった。それは、後に続く初期バロックの音楽にも強い影響を与えることになる。