セルゲイ・ババヤン
ピアノ
セルゲイ・ババヤンは、音楽は驚きと自発的な洞察に開かれ、そこから思いがけない感情が生まれ、微妙な陰影が自然に進化するものであるべきだと述べている。何十年にもわたり労を惜しまず音楽を探求し、これまでの音楽家人生において、バッハ、ベートーヴェン、リゲティ、ルトスワフスキからプロコフィエフ、ペルト、ラモー、リャボフまでの60曲を超える協奏曲その他を含む、幅広く、深いレパートリーを築いてきた。
アルメニアの音楽一家に生まれたババヤンは、6歳のときにルイザ・マルカリャンから初めてピアノのレッスンを受け、その後、サンクトペテルブルグ派を代表する伝説のピアニスト、ウラディーミル・ソフロニツキーに師事したゲオルギー・サラジェフの指導を受けた。その後、モスクワ音楽院でレフ・ナウモフ、ヴェラ・ゴルノスタエヴァ、ミハイル・プレトニョフに師事した。1980年代後半のソビエト連邦崩壊後、ソビエト連邦出身のアーティストとして初めて国の援助なしに国際コンクールに出場した。1989年、ロベール・カサドシュ国際ピアノコンクール(後にクリーブランド国際ピアノコンクールに改称)、浜松国際ピアノコンクール(日本)、スコットランド国際ピアノコンクールで連続優勝したことが大きく取り上げられ、音楽界からも注目されブレイクした。渡米後、1992年にクリーヴランド音楽院のアーティスト・イン・レジデンスとなった。引く手数多の彼は以来、カーネギーホール、ウィグモア・ホール、シャンゼリゼ劇場、ベルリン・コンツェルトハウス、ミュンヘン・プリンツレーゲンテン劇場などの一流会場、ザルツブルク音楽祭で演奏している。また、ワレリー・ゲルギエフ、ネーメ・ヤルヴィ、サー・アントニオ・パッパーノ、ラファエル・パヤーレ、デイヴィッド・ロバートソン、トゥガン・ソヒエフ、ガボール・タカーチ=ナジ、ユーリ・テミルカーノフ、ジョシュア・ワイラースタイン、ニコライ・ザナイダーなどの世界的指揮者、ロンドン交響楽団、クリーヴランド管弦楽団、マリインスキー劇場管弦楽団、ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団、BBCスコットランド交響楽団、リール国立管弦楽団、デトロイト交響楽団、ボルティモア交響楽団、ニューワールド交響楽団などの一流オーケストラと共演している。
2019年、セルゲイ・ババヤンはコンツェルトハウス・ドルトムントのキュレーティング・アーティストを務め、マルタ・アルゲリッチ(ババヤンとはドイツ・グラモフォン初のアルバム『プロコフィエフ・フォー・ツー』を録音)、ダニール・トリフォノフ、ミッシャ・マイスキー、セルゲイ・ハチャトリアン、ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー管弦楽団など親しい音楽パートナー、友人と共演するフェスティバルを開催した。またバンベルク交響楽団、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、トロント交響楽団とのデビュー公演、米国でのダニール・トリフォノフとのピアノデュオコンサート、J.S.バッハとショパンの作品によるリサイタルなど、多彩な活動を行っている。また、クリーブランド音楽大とジュリアード音楽院でピアノの教鞭も取っている。