ミルガ・グラジニーテ=ティーラ
指揮
リトアニア出身の指揮者ミルガ・グラジニーテ=ティーラは、自身の職業を「音楽と音楽家とのコミュニケーションの組み合わせ」と表現する。演奏者と聴衆の両方に強く明確な音楽的アイデアを提示する能力は彼女の特徴のひとつで、ダイナミックな芸術性、揺るぎない集中力、表現力豊かなジェスチャー、想像力豊かなプログラム構成、リスクを厭わない覚悟が持ち味である。
父は合唱指揮者、母はとピアニストというヴィリニュスの音楽家一家に生まれた彼女は、演奏への本能的な欲求を持ち、後押しを受けた。幼少期の音楽レッスンで早熟な才能を養い、成長させた後、ヴィリニュスの名門国立チョルリョーニス芸術学校で合唱指揮と視覚芸術を学び、16歳のときに合唱団でデビューコンサートを開く。
グラーツ芸術大学でオーケストラの指揮に目覚めた後、ボローニャ音楽院、ライプツィヒのフェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ音楽演劇大学、チューリヒ音楽院で学び、2009年にドイツ指揮者フォーラムに見出された。2011年にハイデルベルク劇場の第2カペルマイスターに就任した後、2012年にザルツブルク若手指揮者賞を受賞し、グスタフ・マーラー・ユーゲントオーケストラでザルツブルク音楽祭デビューを果たすなど、国際的にブレイクを果たした。翌年にはベルン歌劇場の第1カペルマイスターに就任し、2015年から2017年までザルツブルク州立劇場の音楽監督を務めた。2012-13年シーズンにロサンゼルス・フィルハーモニックのグスターボ・ドゥダメルフェローとなり、その後2シーズン同楽団の副指揮者を務め、2016-17年には副指揮者に就任した。
バーミンガム市交響楽団 (CBSO) との初共演の際、楽員らにその類まれな才能を即座に認められた彼女は、すぐに再招聘され、サイモン・ラトル、サカリ・オラモ、アンドリス・ネルソンスに続き、同楽団音楽監督のポストを獲得した。2016年から任務を開始して以来、ハイドン、モーツァルト、ドビュッシー、マーラー、ショスタコーヴィチの交響曲からハンス・アブラハムセン、イェルク・ウィドマン、ミンタ・シェルクシュニューテの新作まで幅広いレパートリーによる革新的なプログラムと、強烈かつ衝撃的でさえある演奏が、彼女のCBSOシーズンの特徴となっている。
最近では、フィラデルフィア管弦楽団、サンタ・チェチーリア音楽院管弦楽団とのデビュー公演、ニューヨークのカーネギーホールでのメトロポリタン歌劇場管弦楽団との初共演、ロサンゼルスでのギドン・クレーメルとのヴァインベルクのヴァイオリン協奏曲、CBSOとのドビュッシーフェスティバル、NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団デビューに加え、CBSOドイツ、フランス、ルクセンブルク、オランダ、スイス12公演ツアー、ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス作曲交響詩《海》およびヴァインベルク作曲バレエ《黄金の鍵》英国初演、ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団ウンスク・チン新作世界初演、フランス国立管弦楽団ティペット作曲《A Child of Our Time》などがある。