クリスタ・ルートヴィヒ
メゾソプラノ
1928 — 2021
1928年にベルリンで生まれ、歌手で教育者だった母親に、幼少のころから声楽のレッスンを受ける。
わずか19歳の時、フランクフルト歌劇場で《こうもり》オルロフスキー公爵役でデビューした。1954年にはザルツブルク音楽祭でケルビーノを歌い、カール・ベームに認められて翌年からウィーン国立歌劇場の一員となった。その他にも国際的な音楽祭や権威ある歌劇場で公演を重ねるとともに、質の高い録音を多く残した。
歌曲、オラトリオ、そして歌劇と多方面で活躍し、モーツァルト、ヴェルディ、ワーグナー、シュトラウスにおいて高い評価を受けた。とりわけ《コジ・ファン・トゥッテ》のドラベルラ、《ドン・カルロ》のエボリ公女、《トリスタンとイゾルデ》のブランゲーネ等を得意な役どころとしていた。レパートリーはメゾソプラノに留まらず、ソプラノのパートもたびたび歌っている。クレンペラーとの共演による《フィデリオ》のレオノーレや、カラヤンとの《ばらの騎士》オクタヴィアン役など、名指揮者との録音にも多く参加した。
1993年と94年に送別ツアーを行い、1994年のウィーン国立歌劇場における《エレクトラ》出演を最後に、引退。2021年に93歳で死去した。