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ルドルフ・ブッフビンダー

ルドルフ・ブッフビンダー

ピアノ

現代の偉大なピアニストの一人であるルドルフ・ブッフビンダーは、他の演奏家たちから敬愛され、批評家たちから称賛され、世界中の音楽愛好家たちから崇拝されている。彼の演奏解釈は、60年以上のキャリアを通じて磨かれてきた超俗的な洞察、揺るぎのない知性、自発的な表現、そして自在なテクニックの稀有な融合から生じている。彼の芸術が持つ圧倒的な力は、たゆまぬ探究と、絶えずピアノ音楽の傑作に注がれてきた情熱に後押しされ、強化され続けている。 ブッフビンダーは、1946年にチェコスロバキア(当時)の都市リトムニェジツェで生まれた。両親が所有していたピアノで飛躍的な上達を見せた彼は、5歳の時に史上最年少でウィーン国立音楽アカデミーに入学。5年後、ウィーン楽友協会でオーストリア首相のために演奏した。ウィーン古典派およびロマン派のレパートリーにおける彼の演奏解釈は、彼がウィーンでブルーノ・ザイドルホーファーに師事した期間に確立した技術的な礎に基づいている。10代の頃、北米と南米でリサイタル・ツアーを行った彼は、1966年に再び米国を訪れ、第2回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで特別賞を受賞した。1970年代には、ハイドンのピアノ・ソナタ全集を始めとする鍵盤作品のレコーディングで国際的に高い評価を受けた。ブッフビンダーはこれまで3度ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を録音しているが、1度目の全集がリリースされるや否や、この上なく高潔で洞察力に富んだ音楽家としての彼の名声は高まった。 過去半世紀以上にわたり、ブッフビンダーは多くの一流指揮者の下で、世界屈指のオーケストラと共演し、5大陸で協奏曲のソリスト、室内楽奏者、リサイタル奏者として演奏を重ねてきた。ウィーン近郊で毎年開催されるグラーフェネック音楽祭では、2007年の創設以来、芸術監督を務めており、同音楽祭をクラシック音楽界の重要な催しの一つに育て上げた。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団の名誉会員でもあり、ソリストとして初めてドレスデン・シュターツカペレから名誉賞を授与された。 ブッフビンダーの芸術的信条の中心にあるのは、音楽における自由の追求である。彼は、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ブラームスや彼らと同時代の作曲家たちが何よりも重んじ優先していた表現を深く理解するため、おびただしい数の手稿譜や初期の出版譜、後の改訂などを研究してきた。作曲家たちの作品に関する知識が多ければ多いほど、より自発的に演奏できるというのが、彼の持論だからである。彼によれば、この学びの作業に終わりはない。ブッフビンダーは、ドイツ・グラモフォンと専属録音契約を結んだ2019年に、その長く傑出した演奏活動の新たな章を開いた。彼は、ハイドンとモーツァルトの作品の録音で称賛を浴びる一方で、ベートーヴェンの鍵盤作品と最も密な関係を育んでいる。これまでブッフビンダーは、大抵7日間でベートーヴェンのピアノ・ソナタ全32曲を演奏するツィクルスを60回以上行ってきた。ベートーヴェンの生誕250周年の節目である2020年には、オーパス・クラシック生涯功労賞を授与された。